2011年全国大会の開催にあたって

2011年度の全国大会のプログラム(11月19日・20日)が確定いたしましたので、下記の通り、ご案内を申し上げます。
今回の全国大会から、個別報告について学会員から公募を行い、予め提出いただいた研究概要について研究審査委員会の審査により、報告者を確定することにいたしました。これは広く全ての会員の皆様に対して、学会報告の機会をオープンにすることで、民主的な運営を推進することにより、本学会の主要な行事である個別研究報告会をさらに活気あるものにするためのものです。幸いにも、多くの方々から報告希望があり、17人の方にご報告をいただくことが決定いたしました。
さらに今年の大会から、第一日目の昼食時間を活用して、参加者全員の方が参加できる「AIBTランチョンレクチャー」を企画いたしました。その第1回として、新堀 聰氏(本学会顧問・貿易奨励会)にインコタームズ2010がわが国の貿易実務に対して有するインパクトについての講演をお引き受けいただくことができました。
さらに第二日目のシンポジウムでは、法科大学院におけるグローバル法務教育について取り上げます。昨日発表があった新司法試験の全体的な合格率は23.5%となり、これから先も合格者数の大幅な引き上げなどの措置がないとすれば、三振制度を考慮に入れても法科大学院卒業生の中で法律家資格に辿り着くことができる者は法科大学院修了者の半数を超えることはほぼ不可能となりました。他方で、企業法務部員や法律研究者等の養成などの場面において優秀な人材を確保することが困難となったとの声は小さくなく、国際法務や国際商事仲裁などに対応できる法律家の不足も強く指摘されています。
こうした状況の中で、法科大学院が新司法試験合格率ばかりに教育の焦点を当てることは、その約半数の修了生の将来に対し根本的な配慮を欠くばかりでなく、法律的素養を持った企業人や公務員についての人材枯渇問題を悪化させている懸念もあります。
このシンポジウムでは、こうした現状を正面から受け止めた上で、必ずしも法律家資格を取得しない法科大学院卒業者や、国際ビジネス等に関して新たな職域を開拓できる法律家を養成するために、法科大学院がグローバルな法教育を展開する可能性について議論します。
ぜひ、1人でも多くの方々のご参加をお願い申し上げます。

2011年9月9日  会長  齋藤 彰